2024.08.23
《取材記事》印刷情報誌に掲載されました! ー日光コラムvol.16ー
こんにちは、日光コラムです。今回も日光コラムを読んでいただきありがとうございます。
今回はグラフィックメディアの情報誌 「印刷情報[特集]印刷の価値を高める 実践事例とトレンド
-印刷元気企業の条件<第331回>-」 に弊社社長 原田一徳の取材記事が掲載されました。
人生における転機、企業価値を視覚化する新サービス「シカクレタッチ」、これからの印刷業界についての新しい取り組みなど、経営者として、原田一徳としての想いが記事になっているので、ぜひ一読くださいませ。
印刷製版業で培ってきた「提案力」「技術力」「対応力」を
強みに顧客の想いを形にし、課題解決する「視覚表現企業」へ
印刷元気企業の条件 連載 弟331回
ルポ・原稿 田中肇(たなか経営研究所 所長)
印刷出版研究所 発行 月刊 印刷情報2024年7月号より
◇2代目の急逝で、25歳で社長に就任
同社は、1953年(昭和28年)に大阪市天王寺区寺田町で創業した。
創業者の原田久慶氏(原田一徳社長の祖父)は、製版会社に丁稚奉公で入り、いつか独立しようと仕事に打ち込んだ。戦時中に満州と東南アジアに2度従軍したが、再び製版の道に戻り、会社を立ち上げた。社名は、大好きだった戦国武将の徳川家康が祀られる「日光」から取り、「日光プロセス」と命名した。
1970年には東京・新橋に東京営業所を、1978年には福岡に九州営業所を、1988年には高松に四国営業所を開設するなど、各地に拠点を広げていった。現在は東京本社と大阪支社の2拠点で運営する。
2代目社長の慶徳氏(一徳氏の父)は2001年10月、56歳で社長を継いだ。しかし、そのわずか半年後に急逝し、その後を25歳の一徳氏が3代目として社長を継ぐことになった。当時、一徳氏は大学を卒業し、会社に入ってまだ2年目だった。突然の社長就任を余儀なくされたが、当時、何も分からなかった一徳氏に、祖父からは、「社長は、仕事を取ってくればいいんだ」と助言を受けた。
一徳氏は、その言葉どおり、朝から晩までとにかく営業に飛び回り、無我夢中で働いた。その間の経営は祖父が見てくれていた。
しかし、原田社長が29歳の時に祖父が亡くなり、経営者としての自覚と責任を強く感じるようになった。
ワンマン社長だった祖父は、感覚で経営を行っていた。しかし、自分はそんなことはできない。30歳を迎えた原田社長は、経営の勉強を始める決意をした。経営セミナーに1年ほど参加し、管理会計やマーケティングなどを学んだが、そこで分かったことは「自分は、何も知らない」ということだった。そこで、自分一人だけではどうにもならないと考え、管理部長として、これまで商社で管理・総務を務めてきた人材を迎え入れた。「財務三表すら知らないところから、本当に先生と生徒のように一から教えてもらった。いつも怒られてばかりだったが、親身になって応えてくれた。その人は昨年引退したが、その人のおかげで会社を変えることができた」と感謝を示す。これにより、会社の経営体制を見直し、経理・総務・人事などのバックオフィスの強化を図っていった。
◇人との出会いが大きな転機に
原田社長は、自分のことを「基本的に運がいい」と話す。「25歳の時に父が突然亡くなった時は大きな危機だったが、それでも祖父がいてくれた。身内も支援してくれた。管理総務を一から教え込んでくれた管理部長にも出会えた。
厳しい時でも、社員たちが一生懸命ついてきてくれた」と話す。
特に社長就任前から活躍する社員や、社長就任直後に入社した社員は、今では会社の中心メンバーとして、管理職階層として活躍しており、なくてはならない存在になっている。
友人にも恵まれた。一人は社会人時代のバドミントンサークルの後輩で、原田社長が社長になってしばらくした頃に「バドミントンをまたやりませんか」と勧められた。
その当時、仕事に忙殺されていて、暇も心のゆとりもなかった。「こんな忙しい時に、そんなことやっている場合じゃない」と断ると、その後輩は「確かに忙しいのはよくわかりますが、周りが見えていますか」と真剣に忠告してくれた。それから、少し周りを見る余裕を持とうと、バドミントンのサークルに入り、そこで今の妻に出会った。
◇企業価値を視覚化する「シカクレタッチ」
同社の従業員数は47名。そのうち東京本社には42名。大阪支社には5名が在籍する。進行管理と編集、DTP、画像と各部署に分かれ、専業性を敷いている。
主要な事業として、交通系や販促のポスター、POPの製作などが売上の大半を占めている。同社では営業がプリンティングディレクターを兼任しており、現場でしっかりと打ち合わせをする。立ち合いにも同行するケースがあるが、「思うような色が出ない場合は、変にこねくり回さず、版からやり直すようにしている」(原田社長)と、製版会社としての強みを生かす。特に厳しい品質が求められる広告などで高い評価と信頼を得ている。
しかし、デジタル化の波を受け、印刷物全体は右肩下がりで減少傾向にある。そうした厳しい状況に直面する中で、同社では大型のインクジェットプリンターをいち早く導入した。これにより、バリエーションのあるバリアブルのポスター製作が可能となり、利益率の向上につながった。さらに、UVインクジェットプリンターも導入し、サインディスプレイや看板・電飾系など新たな市場分野も開拓していった。
昨年7月からは「シカクレタッチ」という新サービスを開始した。
どんな会社でも、経営者の考えや理念、想いを伝えることは経営課題である。ただ、自社のことは自社では意外とわからず、またどう表現すればいいか悩むことが多い。
シカクレタッチサービスは、経営者の持つ想いをヒアリングし、社員ワークショップを経て、企業の理念やストーリーをグラフィックで表現することで「企業価値の可視化」を提供している。
社員ワークショップは、「グラフィックレコーディング」という手法で行う。社員に企業理念や経営者への想い、会社をどう思っているか、ありたい将来など質問し、出てきた意見を、リアルタイムにイラストや図などのグラフィックに描き起こし、文章だけではイメージが難しい表現を、イラストを用いることでわかりやすくまとめていく。完成したグラフィックは額装して贈呈している。
その「企業価値の可視化」を通じて、コーポレートイラストやロゴマーク、会社案内、ホームページなど内外で使えるツールを作成する。
シカクレタッチサービスを始めた経緯について、原田社長は「もともと当社は、企業やデザイナーの考えや想いを紙面にすることを得意とする会社だと思っている。企業の多くは企業理念や経営ビジョンはあるが、それがうまく会社案内などに表現されていないと思っていた。シカクレタッチサービスを通じて、その会社のことを深く理解することができ、新たな印刷物の提案など、課題解決型の提案につながっている」と話す。
シカクレタッチサービスは、すでに複数の企業で利用され、サービスを利用した経営者からは「今まで企業理念について話す場がなかったので不安だったが、思っていたより社員の皆が会社の方針を理解し、日々行動していたのがわかりとてもうれしかった」「想像以上に社員の皆から発言があり、いろんな思いを伝え合ういい時間となった」など好評を得ている。
原田社長はこのシカクレタッチサービスを、これから事業の柱の一つに成長させていきたいと考えている。
◇産官学でAI活用の職人技術継承を研究
印刷業界の中においても、「人手不足」や「技術継承」が深刻な問題として叫ばれているが、日光プロセスは、東京都墨田区、千葉大学、サンコー(有薗克明社長、東京都墨田区)と共同で、AIを活用した印刷職人の技術継承に関する産学連携の研究に取り組んでいる。
同研究は、印刷業界における深刻な技術継承の課題に対して、AI技術を活用し、印刷職人の高度な色補正技術を継承することが目的だ。
墨田区には高度な職人技術を有した印刷業や金属加工業などの中小製造業が集積しているが、高齢化や人員不足、市場環境の変化などの課題を抱えており、AIをはじめとする先端技術を活用し課題を解決することが求められている。しかし、事業者にそのノウハウやリソース(経営資源)が不足しており、十分に進んでいない状況にある。
そこで墨田区が、千葉大学と印刷物の色補正に高度な技術を持つ日光プロセスとサンコーの2社との橋渡しを行い、共同研究を実施することになった。
今回の研究に対し、日本印刷学会から研究発表奨励賞を受賞した。地域の印刷会社、行政、大学が一体となって研究開発に取り組む新たなモデルケースを示したことが高く評価された。
原田社長は「これからAI技術はなくてはならない技術となってくる。AIの進歩は、われわれが思っている以上に速いスピードで進んでいくだろう。新たな技術動向を常にチェックすることが大事になってくる」と話す。
◇「視覚表現企業」を目指して
VISION
「視覚表現企業」になる
MISSION
「視覚表現」を通じて人々の記憶を豊かに
お客様の理想を形作るプロセス、
それが私たちの喜びです。
生み出された製品はどのように人へ届くのか。
その製品はどんな共感を呼ぶのか。
製品は「紙」の世界に留まりません。
人と人とをつなぐ「良品」を模索しています。
日光プロセスの強み
お客様の想いに応え、心を動かす「視覚表現」で明日へ向かう力になる。
わたしたちは、70余年培ってきた「提案力」「技術力」「対応力」をベースに深く思考し、お客様の想いを、視覚に訴えかける形に表現します。
お客様の想いによりそって創意工夫を重ね、お客様の課題にともに向き合うパートナーとして、歩み続けています。
提案力
身近な相談相手として、お客様のふとした言葉にも心をとめ、ワクワクできる選択肢をご提案します。さらに、社員が楽しみながら知識や技術を深め、もう一歩上、プラスαのアイデアをお届けします。
技術力
安定的な「良品」の提供がわたしたちの強み。お客様の想いによりそい、様々な媒体で「伝わる形」に具現化します。他社では断られるような難題に挑み続け、磨かれた色表現、レタッチ技術に自信があります。
対応力
「やりきる力」が日光プロセスらしさ。お客様のこだわりを表現すべく工夫を重ね、責任感を持って納品します。クリエイティビティとスピード感、正確性への信頼は厚く「日光さんなら安心」と支持いただいています。
日光プロセスは、長い歴史とともに培った技術力などの強みにを武器に、「視覚表現企業」をさらに追及し、新たな挑戦を続けていく。同社がこれから描く成長ストーリーに注目したい。
企業価値視覚化サービス シカクレタッチとは?
シカクレタッチとは、企業価値を視覚化し、社内外への浸透・発信する様々なツールを制作するサービスです。
経営者のインタビューや社員を交えたワークショップを通じて企業価値やありたい姿をしっかりと引き出し、「伝えたい」を「伝わる」形にアップデートする「企業価値のレタッチ」をご提案します。