2024.09.27

「脱印刷」が響かなかった理由
後継社長が取り組んだビジョンの再設計の裏側
ー日光コラムvol.22ー

こんにちは、日光コラムです。今回も日光コラムを読んでいただきありがとうございます。

中小企業では「経営者としての想いや考えはあるけれど、それをどう社員に伝えればいいか分からない」という悩みを抱えている方が多くあると感じています。
実際、日光プロセスでも同様の課題を抱えていました。
今回は、弊社のインナーブランディングにおける取り組みと、弊社三代目社長・原田がどのように取り組んだのかをお話しします。


インナーブランディングとは、企業の理念やビジョン、価値観を社員に浸透させ、一体感を作りだす目的とした取り組みを指します。企業が持つ独自の文化や目指す方向性を社員に理解させることで、企業全体のパフォーマンス向上や離職率の低減、社員のモチベーション向上などに繋がります。特に中小企業にとっては、限られたリソースで最大の効果を発揮するためにインナーブランディングが重要です。

後継社長が抱えやすい課題

創業者ではなく、後継者として経営を引き継いだ社長がよく直面するのが、「何から手を付ければいいか分からない」という状態です。

実務は分かっている。けど、経営となると正解が見えず、気が付けば目の前の仕事で忙しくしてしまう。外部のアドバイスに違和感を覚えても、「自社らしさ」を自分の言葉で語るのは難しい。理念やスローガンを整えても社員には伝わっていない――。

そんな状態では、社員もどこに向かっていけばいいか分からず、組織はバラバラになってしまいます。
だからこそ「言葉にする力」と「社員との対話」が経営の出発点になるのです。

想いを組織に浸透させるには?
インナーブランディング事例:日光プロセスの事例

変化の必要性を感じたきっかけ

弊社三代目社長・原田は経営を続ける中で、“理念やビジョンが明確な会社ほど、組織として軸がぶれない”、“自社のつよみを言語化し、共有できることが企業変革のカギになる”といった話をよく耳にしていたため、会社の方向性を示さないといけないという考えがありました。

当時の日光プロセスは、市場の流れにうまく乗り、より良いものを作れば仕事が入るという好循環が成立していました。しかし、業界全体として印刷製版の需要が落ち込んでいく傾向にあったため、これまで通りではいけないと強く感じました。

「会社を変えなければならない。そのためには、社員に想いを共有し、方向性を一致させる必要がある」そうした気づきが、インナーブランディングに取り掛かる大きなきっかけとなりました。

ビジョン策定、しかし社員には届かず

日光プロセスでは、印刷製版業が低迷していく中で、新しいことに挑戦しなければと考えるようになりました。
しかし、そのための軸、つまり自社のつよみが明確になっておらず、新しいチャレンジをしても方向性がぶれてしまうという課題がありました。

そこで外部のコンサルティングを導入し、自社のつよみや課題を徹底的に洗い出しながら、
ビジョン「脱印刷」を策定。
その背景をまとめた資料を作成し社員に配布しました。

しかし、この時点ではビジョンが社員に浸透することはできませんでした。

新たなビジョン「視覚表現企業」の誕生

「脱印刷」というビジョンを策定したものの“ビジョンが浸透しない壁”にぶつかりました。
そこでもう一度立ち止まり、改めて理念・ビジョン・ミッションを見直すことにしました。

その結果、生まれたのが『視覚表現企業』という新たなビジョン(ありたい姿)です。

策定して終わりではなく、ここからインナーブランディング施策に取り組みました。

●社員一人一人に面談を実施し、『視覚表現企業』への想いやこれからの日光プロセスについて直接共有

●管理職による『視覚表現企業』を説明するロールプレイングを行い、上長自身がしっかりと理解し、語れるようにする

社員が日々相談するのは上司であり、その上司がビジョンの腹落ちができていれば、現場での判断や行動にビジョンが結びついてくるためです。

インナーブランディングの成果を実感

こうした取り組みの結果、少しずつ社内に変化が現れ始めました。
たとえば、社内で実施したシカクレタッチの社員ワークショップでは、社長と従業員が思う日光プロセスのつよみが一致していたり、『視覚表現企業』というワードが頻出し、ビジョンが社内の共通言語になりつつある、と実感できるようになっています。

組織に「軸」ができた。迷っても、立ち返れる場所がある

こうした地道な対話の積み重ねにより、理念と現場の業務が結びつき始めました。社員同士の会話にも共通の言葉が生まれ、「うちの会社は何を大事にしているか」が自然に語られるように。

理念が浸透した結果、組織全体に一本の軸が通り、経営判断や新規事業にも迷いがなくなったといいます。

まとめ

インナーブランディングを通して、経営に自信と確信を持つ後継社長は少なくありません。

「自分たちの言葉で、形だけでなく、中身からつくる」
その一歩は、理念を言語化すること。そして、社員と語り合う場を持つことです。

企業価値視覚化サービス シカクレタッチではそういった一歩に寄り添います。


企業価値視覚化サービス シカクレタッチとは?
シカクレタッチとは、企業価値を視覚化し、社内外への浸透・発信する様々なツールを制作するサービスです。
経営者のインタビューや社員を交えたワークショップを通じて企業価値やありたい姿をしっかりと引き出し、「伝えたい」を「伝わる」形にアップデートする「企業価値のレタッチ」をご提案します。


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