2025.05.27

25歳、突然社長になった日 その2
ー日光コラムvol.58ー

こんにちは日光コラムです。今回も日光コラムを読んでいただきありがとうございます。
※こちらは連載「25歳、突然社長になった日」第2話です。

これから承継に向き合う方、
すでに継いで日々奮闘されている経営者の方へ。
共感とヒントのある内容です。


実務をやっていると、毎日が追われる日々になって、大変です。
本当に大変です。
しかしながら、社長にしか出来ない事なのかと問われると、違うと今は思います。
日々追われ続けている中では、社長にしかできない、
緊急度は低いけれど、重要度の高い仕事に向き合う時間が持てないと、今は思います。

実務に追われる日々は、確かに充実していました。
自分は会社の役に立っていると思わせてくれました。
でも同時に「このままでいいのか」
という問いには、目を背けていました。

祖父が亡くなり、

「この会社に、“経営者”がいない」

私はそれに気づいたのです。

製版業界は、大きな波にさらされていました。印刷会社の内製化が進み、製版は技術ではなく、単なる「作業の一部」として捉えられ、価格競争が激化していました。

CTPの導入で作業は大幅に簡略化される。「効率化」「コスト削減」が正義のような空気があり、同業他社でも、廃業・倒産という話をよく耳にするようになりました。

そんななか、私は30歳前後のとき考えていた3つのことがあります。

・安売りしない、”品質の日光ブランドの維持”
・印刷機を導入しない
・経営の勉強をする


創業者がよく言っていた言葉があります。
「人は一度うまいもん食べたら、不味いもんは絶対食われへん」
人は一度、本当に質の高いものを体験すると、それ以下では満足できなくなる。
だからこそ、こだわり抜いた良品を届ければ、自然とリピーターになる。
その考え方が、会社全体、当然私の中にも生きていました。
価格競争に巻き込まれそうなときこそ、あえて品質を軸に踏みとどまる。
その判断は、日光プロセスらしい「良品」への誇りを守るものでした。

これも創業者の言葉ですが、
「製版もろくにできひんのに、他のことやってどうすんねん」
当時、製版会社は印刷機を導入し、印刷にシフトするのがトレンドでした。
でも私は、日光プロセスの強みは“色を見る目”と“技術力”にあると信じていました。
印刷機を導入すれば、生産効率に引っ張られて、本来の価値である自分たちの技術や品質が消えてしまうと感じていました。
そう感じたからこそ、導入しないと決めたのです。

「経営の勉強をする」については、次回お話しする予定です。



こうして文章を書くと、その時、経営者としての判断が出来ていると思われるかもしれません。しかしながら、方針発表をしたわけでも、数字による根拠があったわけでもありません。ただ、そう思っていただけです。それを話す必要、共有する必要、自分の頭の中を整理して言語化や視える化する必要、数値として表すなどは、まだ全く気付けていませんでした。

(つづく)

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