2024.07.22
理念浸透のプロセス 組織全体で共有するための5つのステップ
ー日光コラムvol.14ー
こんにちは、日光コラムです。今回も日光コラムを読んでいただきありがとうございます。
今回は理念浸透を成功させるための効果的なステップをお話しいたします。
理念浸透のプロセスやポイントを解説し、具体的な実践手法を紹介します。
理念浸透とは?
理念浸透とは、組織や社会において、ある特定の理念や価値観が深く浸透し、その理念や価値観に基づいた行動や意思決定が自然に行われる状態を指します。
理念浸透が行われていると、何のために自らの業務に取り組むのか、どういった基準で判断するかといった従業員の価値観が統一され、一体感を持って仕事に取り組むことができます。その結果、社員一人ひとりのエンゲージメントは向上し、生産性のアップにもつながります。理念を社内に浸透させることは、企業の成長に必要不可欠だと言えるでしょう。
理念浸透の5つのステップ
ここからは理念浸透をさせるまでの5つのステップについて紹介します。
ステップ1. 認知
理念浸透の1つ目のステップは「認知」です。
社員が自社の企業理念の存在を知り、どのような理念を掲げているかを認識している状態を目指します。
まず、企業理念が策定された理由や背景、込められた想いを説明します。理念がどのような経緯で生まれたのか、企業の歴史や創業者の想いを具体的に伝えることで、理念の重要性を理解してもらうことが可能です。
また、理念に込められた企業の価値観や将来像が社員の行動にどのように影響するのかを明確に示すことで、社員が理念に共感し、日々の業務に反映させることができます。
他にも、高頻度で理念について触れる機会を設けることが重要です。朝礼や社内報を活用して、定期的に企業理念を共有する場を設けることで、社員が常に理念を意識するようになります。これにより、社員全員が一貫した方向性を持って行動できるようになります。
ステップ2. 理解
2つ目のステップは「理解」です。
社員が自社の掲げる理念に込められた意味や背景をしっかりと理解する状態を目指します。
自社が掲げる企業理念には、創業者の思いや企業の歴史、そして未来へのビジョンが込められています。社員がこれらの背景や意味をしっかりと理解することで、理念に対する共感と信頼が生まれます。
この理解を促進するために、社内イベントや説明会を積極的に実施することが効果的です。例えば、創業者や経営者が直接理念について語る場を設けたり、ワークショップ形式で社員同士が意見交換を行う機会を提供することが考えられます。これにより、社員一人ひとりが理念を自分ごととして捉え、日々の業務に活かせることができるようになります。
ステップ3. 共感
3つ目のステップ「共感」は、社員が自社の掲げる理念に魅力を感じ、深く共感している状態を目指します。
共感が生まれることで、社員は理念に基づいた行動しようと意志を持つようになります。例えば、表彰制度を導入することで、理念に基づいた行動を奨励し、社員のモチベーションを高めることができます。共感を得ることは、企業全体の一体感を強化し、理念の浸透が一層進みます。
ステップ4. 行動
4つ目のステップは「行動」です。
この段階では、社員が日常業務で企業理念を実践している状態を目指します。
例えば、営業のセールストークに企業のビジョンを取り入れたり、顧客対応において企業の社会的価値を守る行動を行ったりすることが考えられます。
理念への理解度は、経営陣・管理職・一般社員の順に下がる傾向があるため、理念に基づく行動の指導は上から順に行うのが効果的です。まず経営陣が理念を深く理解し、それを管理職に伝え、管理職が一般社員に指導する流れが理想です。
指導内容としては、理念を正しく理解しているか、日々の業務にどう反映させるかを確認することが重要です。自己評価や定例ミーティングを開き、部署ごとに振り返りを行い、どの程度行動に移せているかを上司からフィードバックすることも有効です。これにより、社員全体が企業理念を意識し、具体的な行動に結びつけることができます。
ステップ5. 習慣化
最終ステップは「習慣化」です。
この段階では、社員が理念に基づいた行動を当たり前のように行い、意識すらせずに実践できる状態を目指します。
具体的には、日常業務の中で企業理念を反映した行動を繰り返し行うことで、無意識にその理念を体現できるようになります。例えば、顧客対応やチームワークにおいて、企業の価値観や目標を自然に反映させることが求められます。この習慣化を維持するためには、前のステップである「行動」の反復・継続が不可欠です。定期的なトレーニングやフィードバックを通じて、社員が常に理念を意識し、それを行動に移すことができる環境を整えることが重要です。
理念が浸透しない理由
「理念の重要性は理解しているが、社内周知が進まない」「理念浸透を行っているけれど、なかなか上手くいかない」といった企業も多いのではないでしょうか。
その理由を探っていきましょう。
企業理念を定めているだけになっている
まず考えられるのは、企業理念を定めているだけになっていることです。
「作って終わり」という考え方では、浸透は進みません。
経営陣は「入社前の説明会や入社式で話したからのだから、社員全員が理念を知っていて当然」と、思うかもしれませんが、社員にとって自分が働く企業の理念は、一度や二度目にしただけですぐに頭に入るものではありません。
社員が最も優先するべきタスクは「日々の仕事を覚えること・こなすこと」であるため、「理念の理解」の優先順位はどうしても低くなります。入社時のインプットが不十分な場合や、部署によって理念体系とのかかわりが薄いと、理念体系を知らない社員が出てきやすくなります。
理念の内容を行動まで落とし込めていない
社員にとっては、理念を言われただけで「具体的な行動でいうと何をすることか」といったイメージが湧きづらいものです。
「どんな行動を取ればいいのか」のイメージを具体的に湧かせることにより、「自分でもやれそう」「やってみようかな」と認識してもらうことが重要です。
社員が企業理念を理解できていない
理念の背景にある創業者や経営者の思い・企業の社会における役割を正しく把握できていない、一方通行の伝達だけでは不十分で、社員が自社の理念体系のことを自分事として考える機会を作ることが重要なポイントになります。
社長の想いを伝える機会を作れていない
そして企業の理念が浸透しない大きな理由の一つに、社長の想いを伝える機会が不足していることがあげられます。
社長のビジョンや価値観は、企業の方向性を示す重要な指針となりますが、それが社員に十分に伝わっていないと、理念の理解や共感が得られにくくなります。
定期的なミーティングや社内イベントを通じて、社長が直接社員とコミュニケーションを取る機会を作ることで、理念の浸透が促進されるでしょう。
理念浸透を行うメリット
理念浸透を行うメリットとしては、以下の点などが挙げられます。
理念浸透を行うメリットを詳しく確認していきましょう。
行動指針の明確化
理念浸透が進むと、組織全体で行動指針が明確になります。これにより、社員一人ひとりが何を目指し、どのように行動すべきかが理解しやすくなります。
具体的な行動指針があることで、社員は日々の業務において迷うことなく、迅速かつ効果的に意思決定を行うことができます。また、共通の目標に向かって協力しやすくなり、チームワークの向上にもつながります。結果として、組織全体のパフォーマンスが向上し、持続的な成長が期待できるのです。
社員のモチベーション向上
企業理念が社員に浸透することで、社員のモチベーション向上が期待できます。これは理念が共有されていると、社員は自分の仕事が企業全体の目標にどのように貢献しているかを理解しやすくなるからです。
この理解が、日々の業務に対する意義を感じさせ、やる気を引き出します。また、共通の理念を持つことで、社員同士の一体感や連帯感が生まれ、チームワークが強化されます。結果として、社員一人ひとりが自分の役割に誇りを持ち、積極的に業務に取り組むようになります。理念浸透は、企業文化の醸成とともに、社員のモチベーション向上に欠かせない要素です。
離職率の改善
企業理念が浸透すれば、離職率が低下する効果も期待できます。
離職の大きな理由の一つに、「今の仕事にやりがいが見いだせない」というものが挙げられます。これは、目の前の仕事ばかりに集中するあまり、自分自身の取り組んでいる仕事の意義を見失ってしまっていることが原因の一つです。
企業理念が浸透すれば、会社の存在意義や、会社が社会へ提供している価値を明確に理解してもらえます。そのため、日々の仕事がどのように役立っているのかが実感しやすくなるでしょう。結果として、離職を考えるきっかけを減らすことができるのです。
会社の一体感の向上
企業理念が浸透すれば、社内に一体感のある風土が醸成されます。
そもそも企業理念とは、「会社全体として〇〇であるべき」「会社として〇〇を実現する」などの、会社全体の指針を定めるものです。そのため企業理念が浸透すれば、おのずと社員は一つの方向へ進むようになるでしょう。
とりわけ、海外の現地拠点など遠方で働く社員に理念を浸透させることは大切です。理念浸透を通じて「自社の一員である」という意識を持ってもらうことで、グループ会社や現地拠点も含めた一体感を醸成できるのです。
理念浸透のためのポイント
企業理念を浸透させるためには、どのようなポイントを意識すればよいのでしょうか。
具体的には以下の通りです。
まずは、社員が理念について話す機会を設け、理念を自分事化してもらうことが大切です。
また、必要に応じて理念の内容を見直したり、社内制度の整備を行ったりするのもよいでしょう。
企業理念を浸透させる際に意識したいポイントをそれぞれ解説します。
経営陣・管理職が手本となり、行動する
経営陣や管理職が手本となるのも、企業理念を浸透させる上で大切なポイントです。
先輩社員や上司が企業理念を体現していなければ、なんとなく組織全体に「企業理念を意識しなくても問題ない」という意識が生まれてしまいます。
反対に、上司が積極的に企業理念に沿った行動を取ることで、部下は自分に求められている行動を理解できるのです。
経営陣や管理職が先陣を切って手本を示したり、率先して社員へメッセージを発信したりして、理念浸透が進むよう意識しましょう。
社内制度を理念に合わせて整える
企業理念を浸透させるポイントとして、理念に合わせて社内制度の整備を行うことも挙げられます。
いくら魅力的な企業理念が掲げられていたとしても、理念に沿った行動を取ることに対してインセンティブが用意されていなければ、行動を継続させることは難しいでしょう。例えば「企業理念に沿った行動ができているか」を評価面談の観点に盛り込むなど、社内制度の整備を検討してみてください。
シカクレタッチの実施で進める理念浸透
以上のように理念浸透を進めるには
・社長の想いを伝える機会を作る
・ワークショップ形式で社員同士が意見交換を行う機会を作る
といった場を設けると理念浸透の促進につながるとお話ししてきました。
企業価値視覚化サービス『シカクレタッチ』は、社長の想いをインタビューし、社員に想いを伝える機会を作ることができます。また、ワークショップに参加することで、社長の想いに改めて触れ、自分事で考えるきっかけになります。
ご興味ある方はぜひこちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
企業価値視覚化サービス シカクレタッチとは?
シカクレタッチとは、企業価値を視覚化し、社内外への浸透・発信する様々なツールを制作するサービスです。
経営者のインタビューや社員を交えたワークショップを通じて企業価値やありたい姿をしっかりと引き出し、「伝えたい」を「伝わる」形にアップデートする「企業価値のレタッチ」をご提案します。